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クスリができるまで〜クスリの種類と品質管理〜 発表者:いしさん

イヒ(製薬会社勤務)

 

病気にならない人はありませんから、

おそらく今までクスリを一度も飲んだことがないという人はいないと思います。

それだけクスリは私たちの生活と関わりの深いものと言えると思います。

 

「クスリ」と聞いてまず思い浮かべるのは

薬局で売っている風邪薬などだと思います。

これらは一般用医薬品といって一般の人が直接購入できるものです。

その効能・効果、用法・用量等は

一般の人にわかるように書かれてありますので、

自らの判断で使用することができます。

 

一方、医療用医薬品と言われるお薬があります。

こちらはお医者さんが処方箋を書いて出されるもので、

正しい使い方を薬剤師などの専門家が理解して、

患者さんはその指示通りに使用します。

 

私はその医療用医薬品が生み出される過程で使われる

クスリの候補(治験薬)の品質保証の仕事に携わっています。

品質とは「製品の質」ということで様々な分野で使われている言葉です。

例えば、時計の品質がよいといえば、

狂いなく時を刻むこと、車の場合はきちんと走るかどうかが

品質のよい大前提になると思います。

クスリは人命に関わるものですから、

有効性と安全性を兼ね備えた最高の品質が求められます。

 

新しいクスリが販売されるまでには

10〜15年もの長い年月がかると言われています。

クスリが誕生するまでの一般的な流れは、

研究→開発→申請→生産→販売と進みます。

 

まず、基礎研究では自然界などからクスリの候補となる物質(タネ)を探します。

そして、探し出した物質をいろいろな角度から調べます。

ここでいう「調べる」とは、

いきなり人間に試してみるのではなく、

動物の細胞や、動物を使って様々なテストを行います。

また、実験結果から、人間の体にどのような影響があるかを予測します。

開発ステージでは、人においても有効性や安全性を確認できるかどうかを、

3つのフェーズの臨床試験(治験)で検討します。

 

フェーズ1:少数のボランティアなどによって、

健康な人間を対象に安全性と有効服用量を調べる。

 

フェーズ2:少数の患者さんを対象に効果や副作用、

長期間使い続けていけるかなどを調べる。

 

フェーズ3:たくさんの患者さんを対象に効果や安全性を最終的に確認する。

 

人体においても有効性・安全性が確認できたら、

今までの試験の結果をまとめ、国内であれば、厚生労働省に「クスリ」として

製造・販売する許可を申請します。

厚生労働省は、その内容を厳しくチェックし疑問がなければその物質を

作った会社に製造・販売許可を承認します。

これでやっと「クスリ」が誕生します。ですがここで終わりではありません。

クスリの発売後も「より安全な使用法の確認」「より効果的な使い方」などの調査は続きます。すべてのクスリには副作用があります。

例えば、風邪薬を飲んだら眠くなる場合や、解熱・鎮痛剤が胃を荒らす

といった本来の効き目とは異なる作用のことを言います。

「クスリ」とは「リスク」の裏返しと言われますように、

一つ使い方を間違えますと副作用によって

人体に悪影響を及ぼす危険性があります。

そのようなことが起こらないように、

私たちは“有効性”、“安全性”そして高度な“品質”の3本柱が

しっかり揃ったお薬を、病気や痛みで苦しんでいる

患者さんに一日でも早くお届けするために努力しています。

 

最後に、感動した話としてジェンナーと天然痘を紹介しました。

 

 

<こぼれ話>

 

身近なクスリのことについて知ってもらいたいと思って話をしました。

準備にあまり時間がとれなくて会社でのプレゼンと思って、

緊張しながらもアドリブを交えて話をすることになりましたが、

皆さんに暖かく聞いてもらえて気持ちよかったです。

若い人が多くて雰囲気のよい勉強会ですね。

夫婦で参加したのですが、次は妻も話したいようなことを言っていました。


<参加者の声>

◆すごくわかりやすい話で良かったです。勉強になりました。

◆製薬の話はあまり聞く機会がないので貴重な話が聞けました。

◆いしさんの仕事に向かう姿勢に感動しました。

◆ジェンナーのように志高くありたいです。

◆いしさんの信念がすばらしいです!!

◆とても初めてとは思えない発表でした。私も見習いたいです。

◆製薬にはいろいろな段階があることを知りました。人々を幸せに、という信念に基づいている方は、本当に素晴らしいなと感じます。

◆クスリはリスクの裏返し、すごいインパクトでした^^

◆製薬のできる過程など薬の話を聞けたのは、すごい貴重な体験でした。

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